現代表を分析する【戦術編その1】

アジアカップでのオシムはどのようなサッカーを試したのか?
大きく分けて2つのサッカーを展開。
1つが従来(ジーコ時代を除く)の日本代表の戦い方をベースにしたサッカー。
もう1つが日本代表の特徴を踏まえた上で突き詰めた4-2-3-1というサッカー。

従来の日本代表の戦い方とは?
日本代表カテゴリーの中で「2006W杯を振り返って」というコラムを書いているが、
正にソコが従来の代表のキモだろう。即ち、
前線から守備を怠らないFW:カズ、中山、城、森島、鈴木、柳沢など。
中心となるカリスマ:ラモス、名波、中山(2箇所ノミネートw)など。
視野の広いアンカー:田坂、伊東、山口、戸田など。
豊富な運動量のバランサー:北澤、本田、明神など。
この4点が日本代表がこれまで培ってきたベースだと考えている。

今回は誰が当てはまる?
前線から守備を怠らないFW:巻。
中心となるカリスマ:ジーコジャパン時代のエース達(中澤、高原、俊輔)
視野の広いアンカー:啓太。
豊富な運動量のバランサー:加地、阿部、駒野、啓太など多数。

其々の評価は?
【前線から守備を怠らないFW】巻。
過去には城に、鈴木に「ノーゴール」「得点力不足」というレッテルをマスコミが貼り、
巻も槍玉に挙げられているが、彼らの素晴らしさは数字で見えないところに有る。

中盤でのプレスが激しくなり、コンパクトな分、
パワーやスピード、技術の高い選手とのマッチでマークのズレなどがあると、
後方からのフィード→ミドルシュートや身体能力による突破と、
一気にゴールまで迫られてしまう時代が90年代から続いている。
特にアジアはここ数年で最も底上げがされている地域であり、
ロングフィードからのカウンターは、
身体能力(ここでは、パワーとスピード)に劣る日本にとっては脅威である。

ポスト役と1stDF(諦めない精神力も含む)は日本が世界と戦う上で必須だと感じる。
猛暑のアジアカップの中で、巻はしっかりと存在感を見せ付けてくれた。

【中心となるカリスマ】
中心となるカリスマは、実はいない。
前W杯メンバー3名を挙げているが、実は彼らでは役者不足と感じている。
彼らは其々が局面のスペシャリストであって、
チーム全体に指示を出せるタイプではないからだ。
アジアカップでは、彼らのスペシャル感がチームにマイナスしてしまったと感じている。
どのような作用だったかは、4-2-3-1と共に書くことにする。
本来ならば、この1年オシムと共に戦ったメンバーの中から、
彼らのスペシャル感(プレッシャー)を操れる選手が生まれて欲しかったのだが、
これは失敗に終わった感がある。
…(おとなしい)阿部や啓太に期待したのだが、ただ負け続けたのは残念でならない。
闘莉王不在という面もあったが、生まれてこなかったのは残念である。
(因みに、トルシエ時代の選手がコのグループに含まれていないが、
彼らは其々が部品でお互いと噛み合うことで活きる事を理解していたので、
カリスマは不要であった。皆が発言しあう力を備えていたと言うべきかな。)

【視野の広いアンカー】啓太
アンカーという部分に関しては啓太が十分な活躍をしてくれた。
だが、+α(視野の広さやフィードなど)を考えると、
彼は能力は限界点まで来てしまっている感がある。
山口素弘ほどの「簡単に前を向く巧さ」は無いし、
戸田ほどの「パスセンスと視野の広さ」は感じられない。
彼の能力は10点とは言い難い。
勿論、DH2枚である以上彼一人の力が問題と言うことではない。
2枚のDHの能力が其々5点であったとしても、+でなく×になれれば相手を上回れる。

彼は現チームの核だが、1つの岐路にあると思う。
彼を残して「良い核」と考え、視野面のサポートが出来るシステムや人材を考えるか、
彼より効果的なコンビの出来る「2名を追求する」のか。
早急な対応を要する場所なので、カメルーン戦と欧州遠征で答えは出ていると思う。


【豊富な運動量のバランサー】加地、駒野など多数。
豊富な運動量を保ちながら、
逆サイドの危険なスペースを埋める、危険な選手を消す。
そういう動きをすることで味方の弱点もを消すことが出来るバランサー。
本田は危険な選手を消すタイプ、北澤や明神はスペースを埋めるタイプだ。
本田は「スッポン」、北澤は「ダイナモ」、明神は「一家に一台欲しい選手」と言われていた。

現在はバランサーという言葉は若干消えてしまっている感がある。
監督のシステムによって作られるバランスがより重要になっているからだ。
現在のサッカーはサイド突破が主流な為、バランサーも自然とサイドに移り始めている。
そして強いチームほど、両サイドにバランサーが存在する。
「攻守の切り替えが早く中央に入ってカバーやヘディングも出来るSB」が、
現代のバランサーでは無いだろうか。(例で言うとエインセやザンブロッタか。)

今回のアジアカップでは、加地と駒野、そして今野と阿部。
ハードスケジュールと気候の影響で運動量を生かす前にガス欠状態だったこともあり、
バランサーになり得る選手が他の選手にサポートしてもらうという逆転現象が起きていた。

加地と駒野は基本のポジションが下がり目に位置しすぎた為、
サポートしてもらうはずの俊輔や遠藤が彼らの守備のサポートに回り、
攻撃力が半減し、悪循環を起こしていたように思う。

そしてそれは、十分な時間を得た準決勝や3位決定戦でも戻ることは無かった。
(※協会の不手際もあったが…。)
代わりとなる阿部と今野も「まだ」SBで実戦できるレベルではなかった。
まだ、がポイントでもある。
彼らと加地や駒野の違いは、彼らは中央に入ってカバーやヘディングも出来る点だろう。
加地のクロスを上げれる力と駒野のクロスの精度を捨てるのは惜しいが、
彼らが台頭してくる可能性は高く感じる。
また、忘れられているかも知れないが、
中田浩二や、干されていた立場から復帰した松田という選手も存在する。
彼らはより適性が高いので、虎視眈々とチャンスを窺っているに違いない。

バランサーは機能していなかったが、今後の進化が楽しみである。

これらを踏まえて従来の日本代表化したサッカーを4-4-2でテストしていた。
ガス欠させない為の準備や、
選手の入れ替えが必要であるというスケールアップの為の課題は感じたが、
「アジアで勝ち抜く為に(の)」この戦い方は確かな手ごたえを掴んだのではなかろうか。

4-2-3-1は機能していたか?

戦術編その2をお待ちください<(_ _)>
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by awi-syuwdow | 2007-08-12 13:21 | 日本代表  

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