現代表を分析する【戦略編その2】

戦術について語っているところもありますが、
戦略の派生として読んで頂けるとありがたいです。

沢山の選手を呼びましたが、最初の1年の選考基準は何処にありましたか?
この1年で呼んだメンバーは実に多く、トルシエの実験室以来の多彩な顔ぶれでした。
代表キャップが軽んじられるというプライドの話もありましたが、
本当に才能のある選手を見つけてくるには必要なことだと思います。
多くの才能を隅々まで探し、より素質のある選手をピックアップする為に、
自分の目で近くで見たいということで呼びまくったのだと思ってます。

Jリーグで様々な局面で活躍できている選手の中で4年後に活躍できる選手。
そういう選手を中心に選んだと思います。
ようするに本当の意味で「スペシャリスト」です。
代表チーム(の特にスタメン候補)は、
スペシャリストの集まりであるべきと蹴導は思っていますから、
この選出はほぼすべて納得がいくものでした。

千葉組は必要ですか?
千葉組というより、監督の考えを分かっている人材が必要です。
監督の考えを分かっている人材はチームを作る上で重要なことです。
加茂時代に山口が、トルシエ時代にはナイジェリアワールドユース組が、
ジーコ時代には秋田や奈良橋といった鹿島組とジーコの家族がベースにありました。
ましてや日本のサッカー界は、
先代、A代表とユースとが全く違うサッカーを展開していたのですから、
監督の考えを伝えることの出来る選手は各ポジションに必須でしょう。
3年間教えを受けた千葉の選手が複数選ばれたのは当たり前のコトです。

「走るサッカー」というフレーズがありました。
ここからがオシムのもう1つの仕事です。(上記の選手選考をすることが1つの仕事です。)
まずはボールを扱う技術だけが代表に選ばれる要素という流れを、
断ち切る為のキーワードを作らなければいけませんでした。
それが「走るサッカー(技術より先にアスリートであることが求められる)」という言葉でした。
常にコンディションに気をつけて、賢く人もボールも動くという言葉は、
華麗なパスとドリブルがサッカーだと思っていた人々にショックを与えます。
面白いぐらいにメディアが食いついた為、
自然と観客も選手も足元の技術より、それ以外の部分を考えるようになりました。

ポリバレントとスペシャリストいう言葉が挙がります。
ポリバレントとはFWにDFもできるようになれということではありません。
他のポジションも出来るというのは汎用性、ユーティリティということです。
その場面において「特別な」存在感を放つのをスペシャリストといいます。
ようするにスペシャリストとは「個の力」のことです。

ポリバレントとは多様性という日本語で表せます。
蹴導はポリバレントという言葉を1つの【戦術】だと感じています。
「誰がどのポジションに入っても、どの場面であっても、本人も回りも同じ絵が見れる。」
「誰がどのポジションに入っても、どの場面であっても、常にフォロー出来る。」
これが多様性だと思います。

今まで、オフサイドトラップ、フラット3、ウェーブ、ショートカウンター、
ゾーンプレス、トライアングル、アイコンタクトなど、
局面での戦術がピックアップされることが多かったのですが、
連続していく各局面でそれぞれ同じ絵を感じて応対し、
数を増やしていって結果として先手を取る戦術。
コレがポリバレントだと思っています。
その為に必要なのが「どの局面であっても賢く走り人もボールも動かし続ける」という、
不変の価値観なのでしょう。

アジアカップでは【戦術・ポリバレント】は出来ていましたか?
アジアカップでポリバレントは出来つつありました。
コンディション不良や高温多湿の猛暑、
だが相手よりパスワークの精度で上回っている選手達、
メリットとデメリットを考えた上ででどういう戦い方をするのがベストなのか、
多くの選手が同じ絵を見て、相手を圧倒的に上回る内容を見せてくれたと思います。
まぁ、コンディションの不良に耐え切れず精度を欠いたり、
それでも同じ絵を見ず自分の戦い方を貫いた戦犯もいましたけどね。

敗戦後、個の力が足りないと監督が言っていましたが?
【戦術・ポリバレント】はある程度出来るようになり、形が出来てきたので、
次に必要なのは個の力、
要するにスペシャルな部分を底上げしていくことだと言っているのでしょう。
各局面においてとしてよりスペシャルになる為に、
攻撃時に参加できる為に、相手を振り切る為に持久力と走力とメンタルを磨く。
守備範囲を広げる為に、よりカバーに入りやすくなる為に持久力と走力とメンタルを磨く。
ボールを簡単に取られない身体を作る為に、トレーニングをする。
ボールを簡単に取られない体勢を作る為に、未知の選手とぶつかり経験値を増やす。
クロスの精度を上げる、クロスのスピードを上げる。
そいううたくさんのスペシャルな部分を伸ばす為のトレーニングを、
日ごろからクラブの選手(例えば外国人FWやDF)とするように、
またそういう機会をより設けるようにと言っているのだと思います。

代表の今後は、そういう部分に向かっていくと感じています。
また同時に更に世代交代を進める為、新選手や巻いた芽を摘むこともしていくでしょう。
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by awi-syuwdow | 2007-08-17 13:29 | 日本代表  

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